【循環器で扱う病気と治療の理解のために】──────── ページの先頭へ
循環器とは何ですか循環器という言葉、皆様は大変難しそうな言葉だと思いませんか。しかしこの『循環器』という言葉の理解なしにはインフォームド・コンセントは成り立ちません。循環器系の病気を理解するうえで非常に大切な『循環器』についてはじめに説明しましょう。
【人間が生きるために必要な最低限3つの条件とは】
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酸 素:人間は呼吸して、空気の2割しかない酸素を
肺で効率よく取り込んでいます。
この呼吸運動がないと窒息して生きてはいけません。
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栄 養:食物を咀嚼し、胃液で形を崩します。
小腸で消化液と混ざり、ゆっくりと小腸の粘膜から
その栄養分が吸収されます。
大腸では水分を吸収し、残り滓を大便として体外
に出します。
小腸では炭水化物、たんぱく質、脂肪が取り込ま
れます。 |
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血液の循環:人間の体に約70兆個の細胞があります。この細胞がすべて円滑に
機能しなければ生きていられません。
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細胞がしっかり機能するために、酸素と栄養が必要です。
細胞は酸素を使って栄養を燃やし、二酸化炭素と燃えカス(老廃物)を
排出します。まるで自動車のエンジンのようです。
この燃焼活動のおかげて体が温かいのです。呼吸するだけで、酸素を
肺にためているだけではだめです。
また栄養も吸収され腸に溜まっているだけではだめです。
生きるために、全身の一つ一つの細胞に酸素と栄養を運ばなければなり
ません。
酸素と栄養を運ぶものが血液で、血液の運搬を司る臓器が循環器と呼
ばれるものです。
ですから、最低生きるために必要なものは酸素、栄養、血液の循環にな
ります。 |
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循環器はポンプとパイプからできている
次に『循環』とは何でしょうか。循環とは行ったっきりでなく、必ず帰ってくることです。
循環バスと同じで、血液も同じような流れをします。
行きが動脈、帰りが静脈となります。
行きの動脈バスに乗るのは酸素と栄養、帰りの静脈バスに乗るのが二酸化炭素と燃えカス(老廃物)です。
さて血液は液体で効率よく全ての細胞に流す必要があります。血液を流すしくみは都市の上下水道と同じです。
ポンプとパイプが必要です。ポンプが心臓、パイプが血管です。
1. ポンプ=心臓 :胸の中心にやや左にあります。正常の大きさは人の握り拳位です。
円錐型の筒状の筋肉が収縮、弛緩することで、筒の中に血液を汲
み取っては汲み出す動作を繰り返しています。
心臓は二つの筒に分かれていて、左側を左室、右側を右室といい
ます。ふつう、血圧と言っているのは動脈に血液を流すこの左側の
部屋(左室)の圧です。左室肺から綺麗な血液(酸素を取り込み
真っ赤な色)をくみ取り、全身に酸素と栄養を含んだ血液を流して
います(上水道ポンプ)。
一方、右室は全身の静脈から帰ってきた汚い血液(酸素が少ない
どす黒い色)を肺という浄水場に流し込む下水道ポンプです。
肺に送り出された血液は肺で二酸化炭素を出し、酸素を取り込ん
で綺麗な血液となり、左側の心臓に入っていきます。
2. パイプ=血管 :血管は行きが動脈、帰りが静脈です。行きの動脈は心臓が出発点
です。
心臓を出た血液は最初に太い大動脈という国道を通ります。
大動脈に出た血液は、腕の動脈、頭の動脈、お腹の動脈などを
出しながら、足の動脈に分かれていきます。動脈は国道、県道、
町道、私道と分かれていき、最後は細胞一つ一つをあぜ道のよう
に取り囲む細動脈となり、血液を細胞に供給して終点となります。
帰り道である静脈はこのあぜ道が起点です。
二酸化炭素や燃えカスを細胞から取り込んだ汚い血液は徐々に
集まって大きな流れとなり、最後は大静脈となって右側の心臓に
帰っていきます。
この汚い血液は右側の心臓から肺に送り出され再び綺麗になって
また左の心臓から全身に送られるのです。
これが血液の循環であり、この血液の流れを司るのが血管となり
ます。
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心臓血管外科医は配管工
心臓血管外科の仕事は血液の流れを正常にするため、手術で修繕すること、配管工のような仕事です。
具体的に言えば、膨れて破裂しそうな血管を人工血管に換えたり、詰まりそうな血管を掃除したり、バイパスして別に血液の流れを作ったり(バイパス手術)、悪くなった弁を取り替えたり(人工弁の手術)、心臓の代わりに別のポンプを付けたり(人工心臓、心臓移植)しています。
もう少し、詳しく心臓血管の病気について話して行きましょう。
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【大動脈瘤とは?】
大動脈瘤には、大きく分けて、解離性大動脈瘤と
真性大動脈瘤の2つがあります。
@解離とはパイプである血管の内側の壁に亀裂
が入り、血液が亀裂に流れ込んで、(外側は丈夫
なため)血管の壁の間を血液が裂いていく病気
です。
(裂ける時、背中と胸の激烈な痛みが特徴的で
す。高血圧をお持ちのかたは要注意です。)
A真性大動脈瘤はパイプである血管の壁に長年
の使用でゴミが溜まり(動脈硬化)、壁が腐って
弱くなり膨れている状態です。破裂するまでは
無症状ですが、破裂すると出血性ショック状態
(危篤状態)に陥り、病院にたどりついても助
からないこともあります。(こんな状態で緊急
手術をしても助かる可能性は50%以下です。)
起こる場所は、横隔膜より上の大動脈(血液の
国道)である胸部大動脈と、横隔膜より下の腹
部大動脈によく起こります。町の道に埋められ
ている古い土管の破裂に似ています。
古くなると血管が瘤状にふくらみ、破裂します。
まず、動脈に流れる血液をサラサラにすること
が動脈硬化予防に大事です。揚げ物などの油っ
ぽいものを食べていると、血管の壁には油がつ
いて、腐りやすくなるし、たばこ(ニコチン)
なども壁を傷付ける原因です。破裂する前に手
術して人工血管で換えれば、手術前とほぼ同じ
健康状態を維持できます。 |
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【狭心症、心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術とは?】
冠動脈とは聞き慣れない言葉でしょう。医師もつい(患者さんも知っていなければならないように)使ってしまいます。(反省!)
狭心症の方はまず、冠動脈の理解から始めましょう。心臓は筋肉でできていると話しました。
この筋肉は24時間365日休まず動いています(動かなければ死んでしまいます)。心臓の筋肉は筒状で収縮します。
その筋肉の外側に心臓を取り囲むように栄養と酸素を送る血液の通り道(血管)がついています。
心臓の冠のように見えるので冠動脈と言われる動脈です。足の筋肉に血液を送る動脈と何ら変わりません。
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狭心症
:冠動脈も大動脈と同じように年齢と
ともにコレステロールが沈着し、
血管の壁が硬くなって(動脈硬
化)狭い場所ができてきます。こ
れを冠動脈狭窄といい、この狭い
場所より下流が血液が流れにくく
なり、心臓の筋肉に酸素や栄養が
いきにくくなります。安静にして
心臓の鼓動もゆっくりなら、症状
はありません。しかし、急に動い
たりして血圧や脈拍が増えると心
臓が一生懸命動きます。この状態
では心臓は安静時よりより多くの
血液(酸素と栄養)を必要としま
す。しかし血管の狭窄のため必要
な量の血液を受け取ることができ
ず、締め付けられるような痛みを
自覚します。(心臓は大事なので痛
みも特別です)この痛みを狭心痛
といい、この状態を狭心症といい
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ます。
心筋梗塞:狭心症の状態を放置すると、血管の壁にある山は徐々に成長し、その山に当たりながら流れる血液が、少しづつ固まり、最後には血栓が完全に血管を詰めてしまいます。(専門的には急性冠症候群といいます)詰まった瞬間から、その下流の筋肉には血液が流れず、筋肉は死んでしまいます。(激烈な痛みが襲います。)
これを心筋梗塞と言います。
さて、少し話しを戻しましょう。
(心臓の)冠動脈の血液の流れは、村に流れる川の流れに例えることが出来ます。
川が上流で堰き止められる場合と、下流で堰き止められる場合では、潤される田畑の面積が異なります。
同じように、冠動脈の上流で閉塞が起これば心臓の筋肉のほとんどが死んで、心臓は馬力が無くなり全身に血液を流す働きを失います。
死んだ心臓の筋肉の壁は脆くなり、心臓の壁が裂けてしまう(心臓破裂)も起こりえます。
逆に冠動脈の下流で閉塞は起これば、筋肉の一部だけに障害を残すのみで心臓の馬力はほとんど変わりません。
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では、どう治療すればいいのでしょうか?
心筋梗塞の殆どは、心臓カテーテル検査と同時に行われるカテーテル治療(風船療法とステント治療)で、狭い場所や詰まった場所を拡げて血液の流れを復元します。
しかしカテーテルで治せない時、狭い場所の下流に別ルートの血液を流す道(バイパス)を作ってあげることができます。
これを冠動脈バイパス手術と言います。胸の内側の動脈や胃の一部の動脈、腕の動脈などを使って別のルートを造り、血液の不足している所に血液を流します。
当科では手術による身体的負担(手術侵襲)軽減のため、人工心肺を使わずに、手術を行っています。手術前に大きな合併症がなければ、ほとんどの患者さんが2週間以内に退院できる状態まで回復しています。
【弁膜症とは?】
心臓には大きく二つの部屋(左室と右室)があることを話しました。その二つの部屋の前に、血液の流れを整列させる心房という部屋が左右にあります。
この部屋を含めると心臓には4つの部屋があり、血液の流れに沿って、静脈(全身から汚い血液)→右房→右室→肺(浄水場)→左房→左室→動脈(全身へ綺麗な血液)となります。
この一方向の流れは各4つの部屋の出口に付いている4つの弁がなければ全く維持されません。
汲み取っては汲み出す動作は、血液が前の部屋に逆戻りしないから汲み出せるのです。その役目が弁です。
ところが、この弁、生まれつき形が異なったり、加齢とともに硬くなって動かなくなったりすると、心臓の部屋に血液が余計に溜まって心臓の筋肉が引き伸ばされて肉離れを起こしたり、肺で血液が渋滞して息切れや呼吸困難などの症状が出てきます。これが弁膜症です。
弁が硬くなって血液が通過しにくくなる弁狭窄症と、弁が広がって完全に閉じず、血液の逆流を起こす弁閉鎖不全症の二つがあります。
治療法は、弁形成手術や人工弁と取り替える人工弁置換手術です。
さて話はまた多少外れますが、血液が血管の中でも固まる(凝固)条件をご存じでしょうか?
血液は固まると動脈を詰める危険性があり、とても危険です。血液が固まる条件は
@空気と触れると固まる(かさぶた)、
A自分の血管内腔の組織以外のものと触れると固まる、
B整って流れないと固まる(乱流や血流停止)、
この3つです。
人工弁はどうでしょう?
血液の通り道にある弁が人工だったら、血液は固まってしまいます。
ですから、手術後は抗凝固剤という薬を飲んで、血液の性質を換えないと血栓塞栓症(脳塞栓などの動脈血栓症)を起こします。
この人工弁は、金属で作られた機械弁と動物の心膜を加工して作った生体弁の二種類があります。
機械弁を植え込んだ場合、絶対に抗凝固剤(ワーファリン)の 内服が不可欠で、一生飲まなければなりませんが、弁自体は40年以上の耐久性があると言われています。
一方、生体弁を植え込んだ場合、抗凝固剤の内服は最初の3ヶ月だけですが、耐久性は10〜15年と言われて、最初の手術を60歳以前に行うと、再手術が必要になる場合があります。
どちらの人工弁も一長一短がありますので、弁の選択に関して、外科医とよく相談してください。 |
さて、大きな循環器系の病気の本質、手術の必要性についてわかっていただけたと思います。
加えて大事なお話をしなければなりません。
それは、手術の合併症です。
心臓の手術は、患者さんの血液を送るポンプそのものを弄るのですから、手術中、場合によって別の血液ポンプが必要になります。
これが人工心肺といわれる血液駆動装置です。患者さんの体から汚い血液を抜いて、人工肺という酸素化装置を通し、ポンプでまた患者さんの体に綺麗な血液を返す装置です。
この装置を用いるか、用いない手術かによっても合併症の程度が異なります。
以下に述べる危険性について、詳しくは手術前に担当医師によく説明を受けてください。
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人工心肺の危険性
@ 抗凝固剤(ヘパリン)による出血性合併症
A 炎症による腎臓、肝臓、肺などの臓器の機能低下
B 低体温による血液凝固異常と免疫能の低下
C 脳梗塞
D その他
【手術の合併症とは?】
手術中、手術後に起こる余病のことです。どなたにどのような形でどの程度起こるか予想できません。(手術成功率は100%ではありません。)もちろん、統計的な数値を出せば、97%とか成功率を手術ごとに医学書から引っ張り出すことは簡単です。しかし、「あなたは残りの3%に属しました。残念ですが・・・」と言えば済むわけはありません。「手術を受けられる患者さんには0か100%しかない」という気持ちで私たちは診療にあたっています。
さて、合併症とは、どんなことが起こり得るのでしょうか?いくつか例えを挙げましょう。
1.心不全・不整脈: 人工心肺を用いて心臓停止下に行う手術(弁膜症手術、大血管
手術
、冠動脈バイパス手術)中は、血液(栄養と酸素)が心臓の
細胞に供給されません。細胞内に蓄えたエネルギーを使い、
細胞の生命を維持しています。
手術前から心筋障害が強かったり、心臓停止時間が長いと蓄えた
エネルギーが減少します。
このため手術後の心臓はエネルギーが不足し、心臓の収縮力
が低下するため、急性期に強心剤の点滴が必要になります。
また心筋障害は不整脈の原因にもなります。
2.気管に入れる人工呼吸の管による声枯れ: 命には関わりにくい合併症の代表です。
耳鼻科による専門的な治療が必要なことがあります。
3. 脳梗塞、心筋梗塞などの動脈塞栓: 手術の際、大動脈の心臓に近い部分を機械的
に遮断する際、大動脈の壁にある動脈硬化でできた石灰化や粥腫
(コレステロールの滓)などが血流再開とともに血管壁から剥がれ
血流に乗って飛散することにより起こります。その他、心臓の奥に
隠れていた細かい空気が飛散する空気塞栓や、もともと脳動脈硬
化があり、手術中に脳梗塞になっている場合もあります。
脳梗塞による症状は、手術後、昏睡に陥るものから、痙攣発作、
手足の麻痺、構語障害など様々です。
4. 呼吸不全 :
手術の間近まで喫煙を継続されているかたに多い傾向があります。
術後は全身麻酔や人工心肺の影響で痰がたくさん出ます。
しかし、傷の痛み、寝ている姿勢のため、痰を十分出し切れず、
気管の中に溜まって肺炎や無気肺の原因になります。
酸素が十分に体の中に入っていかないため、長期の人工呼吸
は必要になることがあります。稀に経鼻挿管(鼻の穴から気管
に管を入れる)、気管切開(首の喉を切って、管を入れる)へと
移行していき、回復に数ヶ月を要することがあります。
5. 腸管麻痺(いわゆる腸閉塞): 腹部大動脈瘤の手術などでお腹を開いた時、
手術による負担、麻酔の影響などで腸が動かなくなります。
術後2〜4日程続きます。
腸が動かない状態では、ご飯を食べると吐いてしまいますので、
この間は絶食となり点滴で栄養を補給します。
大動脈瘤の手術で何らかの条件により十分な血行再建が出来
なかった場合、腸管の血行不良により腸管麻痺が(4週間以上)
続くこともあります。
6. 腎機能不全、肝機能不全: 緊急で手術を必要とする場合に稀に起こります。
手術の前にショック状態で血圧が低く、肝臓、腎臓に血液が十分に
流れていない場合、手術で血流が回復した後も影響が続き、
回復に時間がかかります。
その他、麻酔薬、薬剤、血液製剤などが原因となる場合もあります。
7. 血液抗凝固剤(ヘパリン)による出血:
人体は目に見えない細かい血管内で血栓形
成と消失が繰り返して起こりバランスがとれています。
このバランスが抗凝固剤により崩れ、目に見える大きな出血となる
ことがあります。手術の後、心臓手術部位の出血、脳動脈硬化に
より脆くなった血管から出血した脳出血などもこれにあたります。
人工弁手術の後などに服用していただくワーファリンは、このバラ
ンスを適度に保つため、トロンボテスト、プロトロンビン時間などの
血液検査をして服用する量を調節します。
8. 下半身の麻痺(脊髄梗塞): 大動脈瘤手術など脊髄を栄養している血管を止血の
ため犠牲にすることから、術後両足が動かなくなること(下半身
麻痺)が稀にあります。脳梗塞、脳出血などにより手足が麻痺する
こともないとはいえません。
9.性機能障害: 腹部大動脈瘤手術など、大動脈瘤近くを走行する神経を犠牲にしな
ければならない場合があります。なるべく神経に障らず、手術を
するよう努力します。
10. 傷の問題(傷が膿んでしまう)=感染症: 手術の終わりに胸の切開を閉じる際、
5リッターの無菌水で洗浄します。
抗生剤治療を体の負担のない程度に使います。
耐性菌という多くの抗生剤が効かない菌(MRSA)に侵されると
厄介です。
肝臓、腎臓などに副作用の出る強い抗生剤を使う必要が出
てきます。
特に手術前の入院期間が2〜3ヶ月以上、長期に及んでい
るかたは、症状はなくても耐性菌が常在していることがあります。
11. ICU症候群(開心術後せん妄): 麻酔の影響、術後身体的拘束、睡眠不足、
手術前の患者ご本人の性格など様々な要因で起こる一種の
パニック状態です。
自分が誰なのか、どこに居るのか、なぜICUにいるのか分かり
ません。
家族の方が分からないこともしばしばです。そのためベッドの
上で大暴れすることもあります。
この精神的状態が心臓に直接影響を及ぼすことはありませんが、
異常な興奮のため医療スタッフや家族による説得も効果がなく、
鎮静剤の投与が必要になることもあります。しかし術後血圧が
安定していない状態で鎮静剤を使用すると血圧低下などを招く
危険があります。
また生命維持に必要な人工呼吸器のチューブや強心剤点滴を
自己抜去することもあるため、無視できない合併症の一つと言
えます。
この他、予期せざる小さな合併症はたくさんあります。
これらの合併症から、患者様を守るため、血液検査、レントゲン
撮影など、頻回に強いることがあります。そうして得られた治療
経験に基づいて、
わずかな予兆も逃さず、合併症の予防と早期発見に努めています。
【静脈疾患】
静脈瘤の手術
下肢静脈瘤に対する手術に、多くの施設で高位結紮術と硬化療法の併用療法
を行っていますが、当院では再発率が低い根治的なストリッピング手術(静脈
抜去術)を原則として、術後残った細かい静脈瘤に硬化療法を追加します。
施設の都合上当院では日帰り手術 (デイサージャリー)は局所静脈結紮手術
のみに行っています。日程等外来で御相談下さい。
深部静脈血栓症
下肢の骨近くにある深い静脈が様々な原因で血栓閉塞する病気です。
閉塞部位よりつま先側がうっ血のため浮腫み、筋肉がパンパンに腫れ、とても
痛い病気です。足れ痛いため、整形外科や皮膚科を訪れる方が多いようです。
治療は、急性が腫期であれば血栓を溶かす薬を点滴したり、新たな血栓がで
きないように抗凝固療法を行います。
膝から骨盤にかけて血栓で閉塞する中枢型では、血栓が肺循環へ飛ぶ肺血
栓塞栓症を合併していることもあります。 この肺血栓塞栓症は最近ではエコ
ノミー症候群と
して有名になりました。重症度は様々ですが、致命的な場合もあり決して楽観
できない病気です。
ペースメーカー植え込み手術
循環器科医師が担当医になります。当科はペースメーカー植え込み手術時の
技術面のサポートと緊急合併症発症時のバックアップを担当します。
退院後ペースメーカーの管理は循環器科医が行います。 |
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