くすりの治療を行うための投与経路として、注射薬、内服薬、外用薬などの剤型があります。今回は、くすりがそれぞれの投与経路によりどのように効果があらわれるかについて説明します。
発 行:国立横浜病院薬剤科 1998年3月発行
くすりは、投与経路(注射薬、内服薬、外用薬)により効果を示す時間がそれぞれ異なります。
のみぐすりを例にとると、口から胃に入りそこで溶け、その後、腸に入り他の食べ物と同様に血液中に吸収されます。この血液に入ったくすりが体の各部へ運ばれ初めて効果を発揮します。その後くすりは、血液と伴に肝臓を通り、主にそこで体外に排出されやすい形になり、尿や便と一緒に排泄されます。
このように投与されたくすりは、体の中で吸収、分布、代謝、排泄という過程を経ます。
体のなかのくすりの動き
(吸収) 体内を循環する血液中に入る (分布) 血液の流れにのって移動し毛細血管を通って各組織へ広がり、薬の効果が発揮される
(代謝) くすりは主に肝臓で分解される (排泄) 肝臓から消化管を通って便中へ、腎臓から尿中へと排泄される。
くすりの動きのうち、吸収と分布は、効き目の速さに関係し、代謝と排泄は、効き目の持続性に関係します。つまり速く吸収分布すれば効き目は速くなり、代謝排泄が遅ければ効き目は長持ちします。
今回は、効果をあらわす分布までの過程が、投与経路によりどのように効果があらわれるのか説明します。
1 注射薬
注射薬には、静脈内、皮下、筋肉内注射等の投与経路があります。
@静脈内投与
くすりを直接静脈の中に投与するので、すぐに作用部位に達して効果があらわれます。
A皮下投与
くすりを皮下組織に投与し、皮下組織から吸収され血液に入り、作用部位に達して効果があらわれます。
B筋肉内投与
くすりを筋肉の中に投与し、筋肉から吸収され血液に入り、作用部位に達して効果があらわれます。
皮下注射や筋肉内注射は、組織を通り抜け血管に入るまでの吸収過程があることにより、効き方の速さは、静脈内、皮下、筋肉内の順になります。注射薬は、内服などの投与ができない場合に主に使用されます。
2 内服薬
くすりを口から服用して、胃のなかで溶けて小腸で吸収させ血液に入り、作用部位に達して効果をあらわします。
一般的に皆さんが、錠剤、カプセル剤や散剤のように水と一緒にのめる簡便に使用できるくすりです。
3 舌下錠
くすりを口腔内粘膜(舌の下)より吸収させ、作用部位に達して効果をあらわします。ニトログリセリンのように、吸収が速いため、発作時に使用するくすりなどがあります。
4 外用薬
@坐薬
くすりを肛門に入れ直腸より吸収させ、作用部位に達して効果があらわれます。全身作用のあるものもあります。経口投与が困難な場合に使用するくすりなどがあります。
A点眼薬
くすりを眼粘膜より吸収させ、主にその場で直接作用します。
B点鼻薬
くすりを鼻腔粘膜(鼻の奥の粘膜)より吸収させ、直接作用させるものと、また鼻腔粘膜より吸収させ全身作用を目的とするものもあります。
C塗り薬
くすりを患部に塗り、皮下組織より吸収させ、主にその患部で直接作用します。
D貼り薬
くすりを患部に貼り、吸収させ主にその場で直接作用するもの(鎮痛消炎を目的とした湿布薬)と皮下組織より吸収させ、全身作用を目的とするもの(ニトログリセリンのテープなど)があります。
E吸入薬
くすりを肺の中で吸収させ、そこで作用するものもありますが、全身作用のあるものもあります。
このように治療上の目的や、病状に応じた投与経路があります。
今回はくすりの効果について説明しましたが、病気に対してより良い効果を得るためには、医師から指示されたとおりに、くすりののみ方、使い方をきちんと守っていただきくことが大切です。
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