仕事や家事に追われた時や、外出した時また寝坊した時などに、薬を飲み忘れたことはありませんか?今回は、このような飲み忘れについての特集です。
発 行:国立横浜病院薬剤科 1998年1月発行
◎ なぜ飲み忘れてはいけないのか?
「知っておきたいクスリの話」の前回までに何度か話題にのぼった事もあるかと思いますが、薬は正しく用いないと効果が得られないだけでなく、思わぬ落とし穴が潜んでいる事があります。医師は、処方した薬を患者さんが用法を守って使っているものとして、薬の効果を判断したり副作用が出ていないか注意して診察にあたります。例えば血圧を下げる薬が処方されているとします。これをたびたび飲み忘れてしまうと、医師は薬の効果が得られていないと判断し、薬の量を増やしたり、別の薬を追加してしまう事になります。これでは病気はいっこうに良くなりませんし、むしろ余計な副作用が起きる事さえあります。
◎飲み忘れなくするには?
「○○食後30分服用」と指示された薬を、食事がすんでから30分間まっている間に忘れてしまう事がありませんか?通常「○○食後30分服用」という指示については、「○○食後30分以内服用」を意味します。食後すぐ服用した場合と食後30分に服用した場合とでは、一般的に薬効にはそれほど差はないと言われています。それより30分間まっている間に飲み忘れてしまう事を考えると、忘れないうちに、きちんと服用したほうが良いと思われます。
「1日3回朝・昼・夕○○服用」と指示された薬では、昼の分を飲み忘れる事が多いと言われています。これは、昼間外出したり、仕事の都合などにより指示通りに薬が飲めなかったりするケースが考えられます。このような事態に対応するために、最近は1日2回ないし1回服用を目的とした長時間作用する薬(徐放剤)も多く発売されています。
この他にも様々な理由で、指示通りに薬が飲めない方もいると思います。
服薬時間を変更したり、投与回数を減らしたりするような方法で対応する事ができる場合がありますので、服用方法を変更して欲しいと思う方は、医師または薬剤師にご相談下さい。
◎ もし薬を飲み忘れた時は?
薬にはごく一部ですが、飲み忘れてもそれ程問題にならない薬があります。例えば、寝付きを良くする目的で使われる入眠剤といわれる薬は、もし飲み忘れても、そのまま眠れてしまえばわざわざ起きて飲む必要はありません。まして朝飲んでしまったら、かえって困った事になります。
むしろ大部分の薬は、飲み忘れると治療上問題になります。この場合、気づいた時間によって対応が違いますので、注意が必要です。一般的に、気がついた時間が早い場合には、直ちに飲んで下さい。ただし、次の服用時間が近い場合には、忘れた分は無かったことにして次の服用時間から指示を守って飲んで下さい。決して2回分をまとめて飲むような事はしないで下さい。
◎おわりに
今回取り上げた特集は、頻繁に起こる割には、「あまり意識したことがない」という方が多いのではないでしょうか。紙面の関係で全ての薬について解説出来ませんが、このパンフレットの内容程度は理解しておくと参考になると思います。同時に、自分が飲んでいる薬を飲み忘れた場合に、問題になるものなのかそれともさほど影響がないものなのかを知っておく事も重要なことです。
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