食べ物にも、食べあわせがあるように、薬にも気をつけて欲しい点がいくつかあります。今回は、薬の飲み合わせ(相互作用)についてご説明しましょう。
発 行:国立横浜病院薬剤科 1997年9月発行
最近、私たちが風邪などで病院にかかっても、薬が1種類だけということは
あまりなく、何種類かの薬が処方されることがあります。そのとき気になるのが、テレビや新聞などの報道にもある「薬の相互作用」です。つまり、薬と薬や、薬と食品とによって、その薬の作用と異なった作用が現れることをいいます。
1. 薬と薬の相互作用
◎ 抗生物質と制酸剤
薬はおもに、腸から吸収されますが、制酸剤とある種の抗生物質を同時に服用すると腸からの吸収が抑えられて、薬の効果が弱くなることがあります。(ある種の胃薬の成分と抗生物質が結びついて吸収が抑えられると考えられているからです。)このようなことを防ぐためには、抗生物質を飲んで少し時間が経ってから、胃薬を飲むようにするとよいでしょう。
◎ 喘息の薬と目薬
気管支喘息の患者さんで、ある種の気管支を拡げる薬を服用していて、さらに緑内障で眼科にかかっているような場合、眼圧を下げるために、気管支を拡げる薬と全く逆の働きをする目薬が処方されることがあります。目薬のさし方によっては、必要以上の成分が体に入り、気管支を拡げる薬と互いにじゃまし合ってしまうことがあります。ここで気をつけていただきたいのは、点眼の仕方です。目薬は、1日に決められた回数を1回1〜2滴さし、しばらく目をつぶっているだけで十分な効果が得られます。目薬のさし方にも注意が必要です。
◎ 水虫の薬とアレルギー剤
新聞などの報道にも載りましたが、ある種のアレルギーの薬は、水虫などに使使われる飲み薬と一緒に服用すると、その患者さんに不整脈がある場合、脈がのびたりという、症状の悪化がみられることがあります。このような「のみ合わせ」は、絶対にしてはいけない例の一つです。もちろん医師、薬剤師ともに気をつけていますが、ほかの病院でも薬をもらっている場合知らないうちに、このようなのみ合わせをしているかもしれません。ですから患者さんは、ほかの病院でもらっている薬についても医師、薬剤師に必ずお知らせください。
2. 薬と食品の相互作用
◎ 納豆とワーファリン
血液を固まりにくくする薬であるワーファリンは、肝臓において、ビタミンKと作用して血液を固まらせる因子の合成を抑制する働きがあります。そのため、ビタミンKを大量に含む食品を摂取すると、その効果が全くなくなってしまいます。納豆は腸内で納豆菌によってどんどんビタミンKを合成します。そのため、ワーファリンを服用している患者さんには、納豆は絶対に食べないようにお願いしています。そのほか、ビタミンKを多く含むといわれる食品から作られている健康食品にも注意が必要です。
◎ アルコールとの相互作用
薬を服用してすぐにアルコール多量飲んだ場合、薬の作用が強く現れる可能性がありす。 例えば、睡眠薬や安定剤などの中枢神経を抑制する働きのある薬と一緒にお酒を飲んだ場合、中枢抑制作用が増強され、時には昏睡、意識障害といった危険な状態に陥る可能性もあります。糖尿病の薬の場合は、低血糖に成る危険が高くなります。また、血管拡張剤の場合は、血管を拡げる作用が強くでて立ちくらみや、めまいを起こす可能性もあります。薬を飲む直前、薬を飲んだ直後にはお酒を飲むのは控えてください。
◎ 飲み物と薬
最もポピュラーなものに、鉄剤とお茶との飲みあわせがよくいわれます。これは、お茶の中のタンニンが薬の吸収を抑えると考えられていましたが、いまでは、あまり影響は無いということがわかってきました。また、ある種の抗生物質は、牛乳の中のカルシウムと結びついて吸収されにくくなります。牛乳は子供から大人まで多くの人が飲んでいるだけに注意しなくてはなりません。最近では、グレープフルーツジュースと高血圧の治療に使われるアダラート(ニフェジピン)の飲みあわせで、作用が強くなるといわれています。
以上のように、飲み物との相互作用にもいろいろありますので、水での服用がよいでしょう。
ここにあげたものは、薬や食品が作用し合い、異なった作用がでてしまうため、薬を服用する上で患者さんに注意して欲しい例です。しかし、中には、薬が互いに作用し合うことで、薬の量を減らしたりできる例もあります。
薬の相互作用には、現在わかっているものだけでも数多く、これから先も増えていくことでしょう。薬を一つの病院でもらうことが少なくなった今、「相互作用」を少しでも減らすためにも、医師、薬剤師に、ほかの病院、薬局でもらっているお薬のことを相談してください。
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