今回の患者さん向けパンフレットは、みなさんからよく質問を受ける「薬を飲む時間」についてのお話です。
発 行:国立横浜病院薬剤科 1997年3月発行
◎食後に飲む薬 1日3回毎食後 1回1錠を服用して下さい のように、薬を食後に飲むのは最も一般的な服用法です。それでは、なぜ食後に薬を飲むのでしょうか。
薬は定められた回数を服用しないと十分な効果が得られません。それどころか場合によっては、薬の効果が全くなくなり症状が悪化することもあります。そこで、きちんと薬を服用して頂くために、飲み忘れが少ないとされる食後に服用していただくのです。また、食べたものが胃の中に残っているために、胃に対する刺激が少ないといった利点もあります。
食後何分ぐらいまでに薬は飲めばいいのですか?よく頂く質問ですが、食後とは、概ね食後30分以内に服用することをさします。
◎食直後に飲む薬 食直後とは、読んで字のごとく、食事を終えたら直ちに飲む服用法です。消化剤、糖尿病薬、解熱鎮痛剤などが食直後に服用する代表的な薬です。
消化剤は、消化を助ける酵素が主成分ですので、食べ物と混ざりやすい食直後に服用するのが効果的とされています。
糖尿病薬は、病状や薬の種類にもよりますが、インスリンの分泌を助ける薬は、食後の血糖が上がる時間に効果が現れるように、また飲み忘れをなくすために、食直後に服用するのが一般的です。
解熱鎮痛剤など、胃腸を荒らす可能性のある薬では、食直後に服用することにより、胃腸に対する直接の刺激を和らげる効果があるとされています。
◎食事の前に飲む薬 薬の性質は様々です。食べ物と混ざると吸収が悪くなり、十分な効果が得られない薬や、胃酸がたくさん分泌していると成分が分解されて効果が半減する薬があります。漢方薬など、このような薬は食事前に服用する方法が一般的です。
食事の後の急激な血糖の上昇を抑える糖尿病薬(グルコバイ、ベイスン)は、ごはんやパンなどの食べ物と混じり合って効く薬ですので、食事の直前に飲むことが大切です。
◎食間に飲む薬 食間とは、食事と食事の間に飲むことで、概ね食後2時間に服用することをさします。食後2時間たつと、食べ物は腸に移動し、胃の中は空の状態になります。漢方薬など、食べ物と混ざると好ましくない薬や、食後に症状が現れやすい咳を抑える薬は食間の服用が効果的です。
食間を食事中に服用することと勘違いされることがあるようですが、お間違いのないようにお気をつけ下さい。
◎就寝前に飲む薬 「就寝前」に飲む薬には、下剤のように寝ている間にお薬が効いて、朝起きる頃にお通じがあるように、という狙いで出されているものと、睡眠薬のように、寝つきをよくする薬や、喘息や一部の血圧のお薬のように、朝起きる頃に起こる症状を抑える薬、夜寝ている間に出る胃液を抑えて胃を守る薬などがあります。
では、「就寝前」とはどのくらいの時間を言うのでしょうか。下剤などは、寝る直前に飲んでも構わないのですが、睡眠薬は寝る直前に飲むと寝る頃に、お薬の効果が得られません。ですから「就寝前」とは、概ね寝る30分〜1時間くらい前に服用することをさします。
◎起床時に飲む薬 「起床時」に服用してください。というお薬は、まさに、朝起きたときに飲んでいただく服用法です。朝起きたときの血圧が特に高くなりやすい方や心臓の病気によっては、なるべく早く血圧を下げるために、一部の薬を起床時に飲んでいただくことがあります。
でも、朝起きたときに薬を飲むということは、食後に飲む場合等と違いどうしても忘れがちになってしまいます。そこで飲み忘れないために、前日の寝る前に枕元に起きたときに飲む薬を用意しておくことをお勧めします。そうすれば、朝起きたときにその薬に気づくので、飲み忘れが防げるというわけです。
薬をきちんと飲むためには、服用回数を守るだけではなく、決められた時間に服用することも大切であることがおわかりいただけましたでしょうか。次回の「知っておきたいクスリの話」は、薬の保管方法についてを予定しております。
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