今回は、『医療用医薬品』と『一般用医薬品』の違いの話です。
発 行:国立横浜病院薬剤科 1998年9月発行
◎ 医療用医薬品
医薬品は、その使用目的から医療用医薬品と一般用医薬品に分けられます。
医療用医薬品とは、病院や診療所に勤める医師や歯科医師より処方される薬のことです。
医療用医薬品は、病気を治療したり、病気を診断することを目的とした薬であり、2,000種以上の成分が薬として認められています。
また、ほとんどの薬が一つの成分からできており、病気やその症状により薬を組み合わせたり、または薬を減らすことができるようになっています。
◎ 一般用医薬品
一般用医薬品は、薬局や薬店などで市販されているもので、一般薬(大衆薬)またはOTC薬などと呼ばれています。
※OTC(over the counterの略)とは、薬局・薬店などで、薬剤師が薬を手渡す様子を表現したもので、米国で生まれた言葉です。
OTC薬には、ビタミン剤などのように、日頃の健康管理のためのものや、風邪などの症状を和らげられるために一時的に飲むための薬がありますが、1種類の薬を飲めばある程度目的がかなえられるように、複数の有効成分を混ぜたものが多いのが特徴です。
このようにOTC薬は、保健衛生や日常の軽度の疾病の改善や予防を目的としていますから、当然の事ながら薬として使える成分と量が法律で制限されています。
ところが、最近はOTC薬の中にも医療用医薬品と有効成分が同一なものが見受けられるようになりました。
◎ スイッチOTC
たとえば、腰や筋肉の痛みを抑える貼り薬や塗り薬のコマーシャル等で"インドメタシン"は、よく見聞きする言葉ですが、OTC・医療用薬品に共通して含まれている成分です。
そのほか、水虫薬、胃腸薬、便秘薬等々皆さんよくご存知のOTC薬のなかにも、医療用薬品と同一成分のものが扱われています。
このように、医療用薬品の有効成分をOTCへ転用(スイッチ)したものが、スイッチOTCと呼ばれるものです。
最近では、H2ブロッカーという、胃の中にあるヒスタミン受容体というところに作用して、胃酸の分泌を抑える薬3成分9種類がガスター10やザッツブロックなどの名前でスイッチOTCされました。
一方、医療用医薬品では、主として胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療に用いられており、服用期間や薬の飲み合わせに注意が必要な薬です。
胃の痛みやむかつきが起こったからといって、漫然とこの系統の薬
を飲み続けたり、無神経に他の薬と一緒に飲むことなどは避ける必要があります。
OTC薬は、薬局などで安易に買うことができますが、薬であるという認識と注意が必要です。
◎ OTC薬を飲む時の注意点
一般薬は、従来作用が緩やかで成分の含有量も抑えたマイルドで安全なものという印象がありました。
しかし、その多くが数種類の成分を配合していることや切れ味のよいスイッチOTC薬の開発が進むことで、処方薬と一般薬の服用による成分の重複(同じ、または同系統の薬を一緒に服用してしまうこと)や相互作用(複数の薬を飲むことによって、薬の効き目が強くなったり、弱くなること)副作用の問題なども増える可能性があります。
医師より治療を受ける場合には、処方薬はもとよりOTC薬を含めて、服用しているすべての薬を申し出ることが大切です。
また、逆にOTC薬をお求めになるときにも、服用しているすべての薬を薬剤師に告げる必要があります。
同時に、OTC薬の服用期間、使用上の注意点なども確認することが大切です。
近年、病気の予防・ヘルスケア(健康管理)に対する関心が高まり、自分の健康は自分で守るというセルフケア(自己管理)の大切であるといわれておりますが、OTC薬は、あくまで日常の軽度の疾病の改善や予防のためのものであることをお忘れなく。
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